力不足・・・


 20日付けで、休職中だった30代の男性社員が退職するそうです。



 彼は・・・
 私が入社してから半年位して中途採用で入って来たので、何となく、
 同僚って言う気がしていました。
 寡黙ですが、とっても心の優しい真っ直ぐな人で、決して辛いとか苦しいとか
 愚痴を言った事がない人でした。
 工場のマネージャーと言う職業は上司からとパートのおば様方との
 板ばさみになる事も多く、人に相談したり、寄りかかったりが苦手な彼は
 いつも黙ってニコニコして過ごしていたのですが、そんな彼を見ていて
 いつか潰れてしまうのでは・・・と密かに心配していたのでした。
 

 おせっかいと思いつつ・・・
 たまにゆっくりと話す機会を持っていたのですが、彼はほとんど愚痴らしい愚痴も
 言わず、あ〜私にも心を開いてくれないんだな・・・と思っていました。
 ところが・・・昨年の夏頃から、今まで一切愚痴を言わなかった彼が、
 体力的に辛いと言う様な事を言い始めました。これはきっと彼の気持ちが
 一杯一杯になってしまったんだなと思いましたが、私には黙って話を聞く事と、
 お医者さんに行く事を薦める位しか出来ませんでした。


 そんな折・・・
 今年の初めに社員対象のアンケートの様な物があり、それは心の病に関する
 アンケートで。色々な質問に答えた結果を集計して、その人に潜んでいる
 自分では気付かないストレスなどがわかると言う物。
 彼の結果は・・・やはり、最悪の状態でした。
 その結果を見た彼はやっと自覚して、心療内科の扉を叩いたのでした。
 診察結果は・・・やはり重度の鬱と言う事でした。
 しばらくして、休職と言う形を取り、家でのんびり過ごしたり、
 お散歩したり・・・との生活をしていました。
 私は・・・どうする事も出来ませんでしたが、一人暮らしの彼が少しでも
 元気になってくれれば・・・と思い、毎朝、他愛も無い内容ですが
 とにかく毎朝欠かさずメールする位しか出来ませんでした。
 

 でも・・・
 やはり、今の会社の一員として休職している限り、症状は良くならないとの事で
 今回、退職する事になったそうです。
 結局、何もお手伝い出来なくて申し訳なかった・・・とメールしました。
 そうしたら、彼からは温かい返事が返って来ました。
 「ここ数ヶ月間、ころりんさんからのメールや電話は精神的にも
  凄く助かりました。それがなかったらもっと重い症状になっていたと思います」と。
 何だかね〜、その優しさに涙が出ましたよ。
 こんな優しい気持ちを持っているからこそ、こう言う病気になってしまうんでしょう。
 どうか、ゆっくりとで構わないから、普通の精神状態に戻れる日が来るのを
 祈っています。
 私のかけがえのない友人なのでね。